interview
『星空』『Will You Still Love Me Tomorrow?』など
台湾映画やドキュメンタリー映画で俳優としても活躍してきたストーン。
2014年の新作映画ではとうとう主役に抜擢されました。
この短編映画の原作は文学賞を受賞した小説であることもあり、
映画の原作小説について、
そして、ストーンイチオシの台湾書籍を紹介してもらいました。

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もっと台湾(以下も):2014年の香港国際映画祭で上映された
張震(チャン・チェン)1の初監督作『尺蠖(尺取り虫)』2
ストーンは主役の失業男性を演じましたね。
この作品は聯合報文学賞3の短編小説賞を
受賞した小説を改編した作品ですが、
脚本を読んで原作本を読んでみたいと思いましたか。
ストーン(以下、ス):はい、原作本はすぐ読みました。
脚本を読んですぐ検索したんですよ。

:原作本と脚本ではどんなところが大きく違いましたか。
:基本的に脚本には物語の過程が詳しく描かれ、
キャラクターがどんな行動をとるのかまで細かく記されます。
しかし、本には想像を膨らませる空間があります。
原作本を読んで思ったのは、あの子どもは
本当に存在していたのだろうかということでした。
原作本には子どもの部分がとても曖昧な形で描かれていたんです。
映画は映像として確実にその子どもを撮るので、
脚本には子どもが何をするのかが詳しく書かれています。
そこが一番大きな違いでしたね。本にはこれらの物事が本当に起こったことなのか、
なぜ主人公があんなふうになってしまったのかを考えさせる余白がありました。
もしこの原作本のもつ漠然とした不確かさを表現しようとするならば、
1時間半の長編映画になるだろうと思います。

今回、張震の映画が発表されたことで、
この映画は台湾の短編小説を改編したものだということを知って
原作本に興味を持ってくれる人が増えるのではないかと思います。
映画が小説を、小説が映画を互いにもり立てる関係ってすごくいいですよね。

:本当ですね。日本ではたくさんの映画やドラマが小説や漫画の改編ですが、
台湾ではまだそういった例が少ないですよね。
:確かに。
台湾の小説は着想が自由でおもしろいアイデアのものも多いと思うのですが、
反対に台湾の映像作品がある特定のジャンルを好んで制作するという側面があります。
九把刀(ギデンズ)4はまさに成功例ですけど、彼自身が作家ですからね。
これを機会に台湾の監督が台湾小説や文学に着目して
映像化するようになってくれればいいなと思います。

(続きます!)

800_6828-xストーン(石頭)
本名、石錦航。台湾人気ロックバンド「Mayday」のギタリスト。1975年12月11日台湾、台北生まれ。国立台湾師範大学付属中学、淡江大学環境工学科卒業。コンサート中に当時交際中だった女性にプロポーズし、その後結婚。2007年に長男が誕生し、「小石頭(小さな石)」の愛称で知られている。2009年には、第二子が誕生している。

 

*4月15日スタートの佐藤健主演フジテレビ系ドラマ
『ビター・ブラッド』の主題歌“Do You Ever Shine?”をMaydayが担当。
Maydayオフィシャルサイト:http://www.mayday.jp

photo by 熊谷俊之/text by 西本有里

  1. 故楊徳昌(エドワード・ヤン)監督の『牯嶺街少年殺人事件』でデビューした台湾の実力派俳優。王家衛(ウォン・カーワイ)、李安(アン・リー)、侯 孝賢(ホウ・シャオシェン)など、著名監督の作品に出演を重ねている。最近では『レッド・クリフ』や『グランド・マスター』への出演が記憶に新しい。 []
  2. 妻子ある中年男性が失業を契機に心のバランスを崩していく様子を描いた、現代社会の中産階級の苦悩をあぶり出す秀作。 []
  3. 1976年より続く台湾の歴史ある文学賞の一つ。主催は台湾の新聞社“聯合報”と“聯合報グループ基金会”。 []
  4. 1978年生まれ、彰化県出身の作家。多作な作家として知られており、2000年にネット小説を発表して以来、これまでに70本以上の作品を生み出しており、多くの作品が映画、ドラマ、ゲームになっている。2013年に日本で公開された映画『あの頃、君を追いかけた』は、彼の自伝的小説を自ら監督として映画化し、アジア各国で大ヒットを収めた。 []