食べ物のお話(2)                 昨日のレポートを見逃した方はこちらへ。

文=木下諄一

さて、一方の窪さんのほうはというと、実家が商売をされていたとのことで、
みんなが一緒に座って話しながら食べるということがなかったそうです。
これだけでなんとなく家族の風景がイメージできます。
そんな中、印象に残っているのが「揚げた麺に野菜のあんかけ」。
酢をかけて食べるという料理(ご本人、名前はおっしゃらなかったけど、
たぶん皿うどんじゃないかと思います)。
お話の中で何回か「酢の味が」という言葉が出てきたので、
窪さんにとっては微妙な酢の味が忘れられないワンポイントとなっているのでしょう。
で、おもしろいのがそんなに懐かしい味なのに自分で作ることはないとのこと。
理由はめんどくさい。なるほど。単純明快です。

もう一つ盛り上がった話題が「弁当」でした。
窪さんの弁当についての思い出は、商売を手伝っていたお母さんが忙しくて、
卵とか揚げものとかの見た目がとにかくひどかったそうです。
ぼくとしてはここのところ、もう少し細かく聞きたかったのですが、
話は流れて、今度は自分が母親になったときのことへ。
母親としてはきれいな弁当を作りたいと思ったそうですが、
息子さんに弁当箱全部白いご飯でその上に豚肉の生姜焼きだけ、
あとは何もいらないと言われてショックを受けたとのこと。
これ自体、親子3代にわたる立派な小説ですね。
こんなおもしろい話を聞けただけでも来た価値があったと思いました。
一青さんの弁当話もおもしろかったです。
台湾の弁当は日本のと違っていてきれいじゃない。それに汁がたっぷり。
これを毎日学校の加熱機で温めて食べるのですが、
そのころの思い出話や日本に戻ったあとで体験した
友達の弁当との違いなどを話してくれました。
一青さんにとっては台湾の弁当のほうがおいしいとのこと。
やはりそこにはお母さんの愛情や台湾の生活など、
いろいろな思い出が詰まっているのかなと思いました。

こんなふうに「食」についてあれこれと一時間半。あっという間に過ぎました。
それにしても食べ物の話ってどうしてこんなにおもしろいのでしょうか。
今度はもう少し細かいところまで突っ込んで聞いてみたいものです。
ぜひ、また企画してください。よろしく!

(編集者交流イベントにも参加した方のレポートに続きます!)

kinoPH木下諄一(きのしたじゅんいち)
台湾在住作家。
小説『蒲公英之絮』(印刻出版社)が第11回台北文学賞を受賞。
自由時報に不定期連載のコラムをまとめた『随筆台湾日子』(木馬文化出版)が好評発売中。