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子どもの頃は漫画を読むのが好きだった張震(チャン・チェン)、
本格的に彼が小説に目覚めたきっかけはなんだったのでしょう?
読書とからめて兵役中の生活についてもお話を聞きました。

取材・構成=西本有里、写真提供=Cat(タイトル他)、許闖(プロフィール)

 

もっと台湾(以下、も):高校の頃はいかがですか。
どんな本を読んでいましたか。

張震(以下、張):高校の頃は美術を専攻していて、
絵ばかり描いていたので本を読むことは少なかったです。
学校の宿題も大変でしたしね。

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:いつ頃から本格的に本を読むようになったのでしょう?

:兵役1の頃です。
兵役の期間中はとても規則正しい生活を送らなくてはならないので、
生活サイクルがとても単調になります。
ですから読書によって、自分自身の兵役生活を少し楽しいものにできるというか、
本を読むことで別の世界に入り込める、という効果がありました。

:映画にも同じような効果がありますね。

:はい。ただ、兵役中は映画などの映像は見られないんですよ。
テレビは1台しかなくて、皆で1台のテレビをシェアするんです。
でも本は違います。本は持っていれば、どこでも好きな時に読むことができます。

:兵役中に改めて本を読み始めた時、どんな本を手にとったのですか。

:村上春樹さんの本です。

:台湾では、村上春樹さんは本当に根強い人気ですね。

:はい、僕が彼の本を初めて手に取ったのは1990年代後半です。
台湾における何度目の村上春樹ブームだったのかよくわからないですが……。
確か台湾では1980年代、1990年代に何度か彼のブームがありました。

:初めて読んだのはどの作品ですか。

:『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』です。
ある友人の監督が推薦してくれたので手に取りました。
続けて『国境の南、太陽の西』を読み、
その後、初期の作品に戻って『1973年のピンボール』
『中国行きのスロウ・ボート』を読みました。
もちろん『ノルウェイの森』も読みましたよ。
村上春樹さんは今までずっと読み続けている作家の一人です。

:村上春樹さんの作品でいちばん好きな作品はどれですか。

:『ダンス・ダンス・ダンス』です。
かなり昔に読んだ作品ですが、印象的な作品です。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を初めて読んだ時、
こんな形態で小説が書けるのか!大きな衝撃を受けました。
構成がユニークで、エレベーターの空間表現などには
すごく想像力を掻き立てられました。
読書が楽しいと思えたのはこの本を読んだおかげです。
村上さんの描写はとても精緻で、視覚的ですよね。
最近『1973年のピンボール』を読み返してみたのですが、
昔読んだような新鮮な感動はありませんでした。
これは、ある時代のある特定の状況の中でその本を読むことと
深い関わりがあるのかなと思いました。
その時代のその時の自分だったからこそ
グッと心に突き刺さる部分があったのでしょうね。

(続きます!)

 

interview_prof張震(チャン・チェン)
1976年10月14日、台湾台北生まれの俳優。台湾の名優・張國柱(チャン・グォチュー)の次男。1991年に故・楊徳昌(エドワード・ヤン)監督の自伝的映画「牯嶺街少年殺人事件」でデビュー。最近の作品に王家衛(ウォン・カーワイ)監督の『グランド・マスター』(原題:一代宗師)、新作に侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の『聶隱娘』がある。また第38回香港国際映画祭において3人の俳優がオムニバス形式で監督をした『三生』にて監督デビュー。

 

  1. 台湾には徴兵制度があり、健康な台湾男性は全員服役する義務がある。張震の時代には1年10か月が必須とされた。現在まで数回の期間短縮がされてきており、兵役自体を廃止すべきとの議論もある。 []