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台北の乾物屋「濱江商行」さん
「Yukiったら干しホタテ食べちゃうんだよ! 売り物なのに! 高いのに!」

『猫らおばん』(仮)(原題:台灣這裡貓當家)より
 

◯登場人物:店主の翁〔オン〕さん、丁稚〔でっち〕の「貝」(まだチビ猫)と番頭の「Yuki」(白猫)

 台北の乾物屋「濱江商行」さんへは、3か月ぶりのお邪魔になる。店主の翁〔オン〕さんはやっぱり忙しそう。お客さんの相手をしたり、店員に指示を出したり、店中を慌ただしく行ったり来たりしてる。あれ!? Yukiがいない。「朝、犬を連れたお客さんがいてね、ケンカふっかけるから、隔離したんだ」と翁さん。ほんとだ、ひもにつながれたYukiが、棚の奥の方にいた。「わたしが悪いんじゃないの」とでも言いたげなYukiの表情に、わたしは吹き出しそうになる。翁さんが「もう出てきていいよ」と、Yukiに言った。
 お店には、みんなに大人気の白猫Yuki以外に、3匹のトラ猫がいる。でも3匹とも人間が苦手。店中を走り回るチビトラは、前回来たときはまだお腹の中にいたんだけど、ご店主も、どっちがお母さんなのかわからないそう。3匹とも柄が似すぎてる上、警戒心が強くって、普段から近寄らせてもらえないから。でもそのおかげでこの店にはネズミが全然いない。ところがYukiはネズミ捕りが下手っぴ。ほかの2匹は獲物をくわえて、見せびらかしに来るのにね。
 Yukiはまるで甘やかされた子どもみたい。ちっちゃいころから翁さんのそばを離れず、台湾南部へ出張について行ったっていうし、今もネズミを追いかけないばかりか、お店の干しホタテを食べちゃう。1キロ1,200元[約3,600円]のには見向きもしなくて、1キロ1,800元[約5,400円]の最高級品ばっかり食べるんだって! 箱入り娘よねえ。おうちが乾物屋さんでよかった。よそだったら、食い物の恨みが恐ろしいよ……。
(略)

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写真提供 猫夫人
 天野健太郎
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