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台北の金物屋さん「五百元金物店」
金物屋さん「元気すぎるハッピー。こら! おばあちゃんの入れ歯で遊んじゃダメ!」

『猫らおばん』(仮)(原題:台灣這裡貓當家)
 

◯登場人物:かわいい看板姉妹・キキとミミ、そしておてんば娘のハッピー(3歳)

 そこにいたのは、とっても人懐こくて、楽しい子どもたちだった。
 「五百元金物店」に入るなり、女の子が慣れた口調で「何にしますか」と訊いた。このときおばあちゃんは、奥でおなじみさんとおしゃべりしていたけど、全然ほったらかし。わたしくらいのお客、この妹さん——ミミちゃん一人で十分なのだ。
 ミミちゃんに来意を告げた。そう、わたしは猫ちゃんに会いに来たのだ。すると彼女は途端に目をキラキラさせて、前のめりになってこう言った。「ハッピーはねえ、今、外に遊びに行ってるの」
 おや、声が子どもに戻った。それにいつも猫ちゃんの動向に気を配っているんだろう。ミミちゃんはキョロりともせず、猫がどこに行ったか教えてくれた。わたしが写真を撮りにきたのだと告げると、ミミちゃんは待ちきれない様子で、猫の帰りを待った。
 ハッピーが帰ってきた。うれしそうにハッピーのほっぺをさすりながら、ミミちゃんは言った。「雑誌に載るって! スターになっちゃうかもよ!?」
 ハッピーは本当にかわいい。ちょっと寄り目で、声なんかまさに猫なで声だ。お姉さんのキキちゃんも帰ってきて、店で一緒に遊びはじめた。ほら、3人。もとい、2人と1匹の仲良しショット。小さいころから、ハッピーは二人の大事な友達だったんだろうなあ。おばあちゃんもニコニコしてその光景を眺めている。二人はつい何日か前まで台湾南部に行っていて、ハッピーはとても寂しがっていたらしい。おばあちゃんの膝に跳び乗って、「どうしてお姉ちゃんたちは帰ってこないの?」って、にゃーにゃー鳴いてたんだって。
 ハッピーは超いい性格で(もっとも家の中だけらしい)、この姉妹に抱っこされようが、いたずらされようが、ご機嫌を損ねたりしない。でもミミちゃんとキキちゃんがわたしに告げ口する——ハッピーは外に、ボーイフレンドがたくさんいるんだって。おまけになかなかのおてんばさんで、おばあちゃんの入れ歯の水を飲んじゃったり、お焼香の壺で遊んで、神棚を灰だらけにしちゃう。もうわたしは笑ってばっかり。何げない日常が、猫ちゃん主演のコントになるなんて、とっても楽しい。
 寄り目のハッピーとかわいい看板姉妹が店番する“500元”金物屋さんに行けば、きっと500元以上のおまけがついてくるよ。(了)

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写真提供 猫夫人
 天野健太郎
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