所変われば本違う。
台湾で出版されている本たちは、日本の本たちと、いろんなところがいろんなふうに違うもの。
いったい、どこがどういうふうに違うのか、台湾人が見る違いを一つ一つご紹介していきます。
次に台湾へ行ったら、ぜひ書店を歩いてみてください。

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台湾本を買おう

文=黄碧君

安く買うには?

台湾の一般書の定価は、250〜350元あたりが多いです。
日本と大きく違うのは、新刊発売後の1か月は「79折」(21%オフ)になること。
発売直前から発売後約1か月は宣伝・販売の集中時期にあたり、
実際の店舗とネット書店はほぼ同じ割引率で買うことができます。
本好きな人や好きな作家の作品を常にアンテナを立てている読者は、
気になる新刊があれば、本屋で買う人が多いようです。
既刊本の多くは割引無しか10%オフくらいしかありません。
既刊と新刊が同じように店頭に平積みされるわけですから、
新刊が圧倒的に買い得感を与える、ということになります。

こういう割引ができるのも、台湾と日本の制度の違いがあるからです。
台湾には日本のような再販制度(再販売価格維持制度)がありません。
書籍はその他の商品のように、
流通の段階から、公正な競争に基づく価格が形成される仕組みです。
台湾出版業界の関係者は「日本の再販制度がうらやましい」と言います。

出版社と流通システム、また書店との関係は、とても緊密です。
書店では普段から出版社と共同して、独自のイベントやフェアを行い、
書店もテーマやさまざまな切り口で頑張って販売しています。

本屋いろいろ

大型チェーン店・誠品書店は台湾のブランドになっています。
台湾に来る外国人観光客は書店見学を予定しているかどうかにかかわらず、
うっかり入ってしまうことも少なくありません。
なぜなら誠品書店はただ本を売るだけの本屋ではなく、
同じビルやフロアに、雑貨や文具、衣料品や生活用品まで置いてあり、
楽しめるショッピングモールとして展開しているからです。

それに対して、昔からのチェーン店には金石堂書店や三民書局があります。
金石堂書店は町の本屋さんとして各地に小型の店舗をたくさん持っており、
三民書店は試験の参考書や教科書などを多く出版する出版社でもあります。

台湾で安く本を買いたいなら、大学近くの本屋へ行くのがおススメです。
学生や先生を対象にしていて、新刊旧刊問わず年中、割引で販売しています。
台湾師範大学近くの水準書局は台湾で一番安い本屋を自称していて
30%オフは当たり前ですし、台湾大学近くの政大書城も平均25%オフです。

特定のジャンルやテーマの本を探すなら、
品揃えが豊富な独立書店もおもしろい場所です。
思想・人文の書籍が豊富な唐山書店や、ジェンダーをテーマとした女書店、
気候変動とエコに関するコレクションの多い伊聖詩私房書櫃など、
個性豊かな町の本屋が台湾にはたくさんあります。
ちなみに映画関連本やDVD、アルバムを買うなら、光點の中の誠品書店が有名です。

実店舗のライバル、ネット書店も一年中本を安く買える場所です。
日本でネット書店といえばアマゾンですが、実は台湾にはアマゾンがありません。
代わりにあるのが博客来(www.books.com.tw)です。
博客来には実際の店舗がありませんが、
全国各地のセブンイレブンで本を受け取ることができ、受取払いも可能です。
割引率も結構よく、便利です。
本を実際に手に取ってみることができない分、
サイト上では、作家のコラムやインタビューなど、
さまざまな企画で本の魅力を引き出して読者に提供しています。
アマゾンと同じように、本以外の商品も品揃えが豊富な一方、
コンサートや映画、舞台などのチケットも販売しています。

次に台湾に来る機会があったら、ぜひ本屋に寄ってみてください。

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黄碧君(ふぁん・びじゅん)
ellie
1973年生まれ、台湾人女性。書籍翻訳・通訳家。大学卒業まで台北で暮らした後、日本の東北大学に留学、その後はアメリカ語学留学、結婚を経て、現在は日本人夫と台北で暮らす。台北で書店や版権仲介会社の勤務経験をもつ。全国通訳案内士、沖縄地域通訳案内士の資格を取得。2012年、日本人に台湾本の多様性と魅力を伝えるべく、台湾書籍を提案・翻訳・権利仲介する聞文堂LLC合同会社を設立。本は生涯の最良養分と信じて、台湾本のコーディネートと日本全国を旅するライターを目指す。
【主な翻訳作品】
辻仁成・江國香織『恋するために生まれた』幻冬舎、(中文題『在愛與戀之間』皇冠出版社)
寺山修司『幻想図書館』河出書房新社(中文題『幻想圖書館』邊城出版社)
奈良美智『ちいさな星通信』ロッキング・オン(中文題『小星星通信』大塊出版社)
青木由香『奇怪ねー台湾 不思議の国のゆるライフ』東洋出版(中文題『奇怪ね』布克文化出版社)
杉浦さやか『週末ジャパンツアー』ワニブックス(中文題『週末日本小旅行』時報出版社)
荻原浩『あの日にドライブ』光文社(中文題『那一天的選擇』商周出版社)
島田雅彦『エトロフの恋』新潮社(中文題『擇捉島之戀』台灣商務出版社)
三浦しをん『舟を編む』光文社(中文題『啟航吧!編舟計畫』新經典出版社)
松浦弥太郎作・若木信吾写真『居ごこちのよい旅』筑摩書房(中文題『自在的旅行』一起來出版社)
角田光代『あしたアルプスを歩こう』講談社文庫(中文題『明天散步阿爾卑斯』(仮)日出出版社)など。