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小学校卒業後、当時の台湾の社会情勢により
読む本に大きな変化が現れた温昇豪。
その変化とはいったい何だったのでしょう?

取材・構成=西本有里、撮影=熊谷俊之

 

もっと台湾(以下、も):小学校以降、どんな本を読むようになりましたか。

溫昇豪(以下、溫):中学に入ってからは中国の近代史を読むようになりました。
興味を持ったきっかけは、当時の台湾の社会状況と大きな関連があります。

僕が小学生の頃、台湾はまだ戒厳令下にありました。
1987年に戒厳令が解かれると、社会状況・政治状況が変化し、
寧靜革命(静かなる革命)の時期に入り、党外運動1が盛んになりました。
小学校の頃学習した歴史は、中国は国民党のもの、中華民国のものだと教えられ、
台湾史は中国史とひっくるめて教えられたのです。

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それが党外運動において、台湾には台湾独自の歴史があるという主張を聞いて
初めてその事実を認識したのです。
自分が小学校時代に学習した歴史っていったい何だったのだろう?と思い、
中国近代史の書籍をたくさん読むようになりました。
台湾の歴史・政治を深く知りたくなり、両岸関係史2、国共内戦3
毛沢東、蒋介石、周恩来、鄧小平などの書籍を読みました。

これらの書籍を大量に読んだことで、
中学生の頃から政治関連の仕事に就きたいと思うようになりました。
大学に進学する際、マスメディア論を専攻したのは
この時の経験が大きく影響していますし、
大学時代からテレビ局で仕事をし始めたのもその関係です。

俳優としては、2008年に主演した台湾映画『一八九五』4
これら書籍を読んでいたことがとても大きな助けになりました。

僕が演じた呉湯興は日清戦争後、
日本に割譲された台湾で日本軍に対抗する義勇軍の頭領です。
呉湯興は自身の祖国・清国に見捨てられ、その後日本を受け入れ、
日本語を学び、皇民化政策を受けなければならない状況に陥ります。
もし中学の頃に台湾の歴史に関する書物を読んでいなければ、
彼の心情を理解するのはもっと難しいものになったと思います。

(続きます!)

 
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温昇豪(ウェン・シェンハオ)
1978年2月22日、台湾高雄市出身の俳優兼モデル。
2006年に公共テレビで放送された『危險心靈(危険な魂)』で演じた数学教師役で注目をされ、その後『敗犬女王-My Queen(原題:敗犬女王)』『P.S.男(原題:偷心大聖PS男)』などアイドルドラマに多数出演。2010年に出演した大ヒットドラマ『結婚って、幸せですか(原題:犀利人妻)』以降、『ズーム・ハンティング(原題:獵豔)』『候鳥來的季節(渡り鳥の季節)』『結婚って、幸せですか THE MOVIE(原題:犀利人妻最終回:幸福男·不難)』など映画作品への出演も多数。2013年には歌手デビューを果たし、EP『James Wen』を発売した。

  1. 国民党一党独裁体制時に「独裁反対・民主自由化の実現」を目標に活動していた政治組織の運動 []
  2. 台湾海峡の両岸にある中国大陸と台湾の関係史を指す。 []
  3. 中華民国政府率いる国民革命軍と中国共産党率いる中国工農紅軍との間で行われた内戦を指す。 []
  4. 2008年11月に台湾で公開された温昇豪、楊謹華(シェリル・ヤン)主演の台湾映画。原作は客家人作家として有名な李喬の『情歸大地』。1895年、日清戦争後日本に割譲された台湾で、進駐してきた大日本帝国軍との戦いのさなか、義兵将として立ち上がった客家人呉湯興が率いる全台義勇軍部隊にスポットを当てた作品。 []