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台湾きってのイケメン監督の戴立忍(ダイ・リーレン)、彼は監督として活躍するだけでなく、俳優・脚本家・編集技師・レーサーなど様々な顔を持つ偉才です。小さい頃から大量の本を読み、本は“私の片方の翼”と形容するリーレンさんが語る台湾・中国書籍の世界をどうぞお楽しみ下さい。

取材・構成=西本有里、映画スチール写真提供:華聯國際

 

も:では新作の予定はありますか?

リ:今はありません。もちろん脚本を書く所からスタートするので、色々書いてはいます。私の場合、脚本の構想はすべて頭の中にあって、頭の中を駆け巡る奇想天外なストーリーボードや映像イメージを文字で書き留めて行っています。

しかし撮影に入ると脚本を書く作業とは大きく違い、様々な人と係わり合います。スタッフとのやりとり以外に俳優とのコミュニケーションも発生します。撮影の現場で俳優からこういう風にしてみたらどうでしょう?と意見が出たりもします、でもその時はなぜか自分のやり方の方が確実に優れていると思い込み、私の言う方法でやってくれと何度もテイクを重ねたりします。

しかし編集作業に入った時に、俳優が言っていた方法の方がよかったのではないか…、という事実にぶち当たる事があります。そしてあの時なぜ自分の意見をまげなかったのか、何に固執していたのだろう…と思う事が多々あります。編集作業は脚本を書く作業よりもずっと複雑な状態にあります。人と係わり合う中で初めて自分の良い所、悪い所に気づくのですね。

多くの監督は編集技師と共に編集作業を行いますが、そうすると自身と対峙する感覚は間接的なものになります。一人で小さな部屋に籠って映画に向き合う事はある種の修練ですね。真っ暗な洞窟の中で真っ暗闇の中にいる自分自身と向き合い、修練を重ね如何に仏になるか…という作業と言えます(笑)。そしてどんな事をしてでもその洞窟の中からこの物語を持って外に出てこなければならないのです。

 

も:では新作映画「寒蟬效應」1 についての質問です。今回音楽大学の教授の役で出演されていますが、出演はやはり脚本を読んで決められたのでしょうか?

郭采潔戴立忍曖昧演出師生戀

 

リ:監督の王維明2 は大学の先輩で、大学時代から私は彼のグループスタッフとして監督が取ってきた仕事に関わり、生活費を稼いだりしていました。また王維明監督自身も非常に優秀な役者です。彼は楊德昌〔エドワード・ヤン〕監督の映画にも出演していますし、エドワード監督の下で仕事をしていました。そういった意味で監督に対する強い信頼感がありました。

もちろん、「寒蟬效應」の脚本は読んでいましたが、私が役者として製作に関わる事を決める際のポイントを脚本にはおいていません。なぜなら映画は人が作っているからです、映画は一本の脚本だけで作られる訳ではありません。クオリティー的には普通の脚本でも、映画として完成した時に素晴らしい作品に仕上がる事もありますし、逆にどんな素晴らしい脚本でも、出来上がってみるとたいした事ない作品になってしまうものもあります。私は人の要素を重視し、信頼する人達と仕事をする事を信じているのです。ですから私は王維明監督を信じ、この作品に参加しました。仕事はお金を稼ぐ以外に何よりも面白くないと!面白くない仕事はしたくありませんからね。

 

も:なるほど、王維明監督の作品である事が出演を決めた最大の理由だったのですね。では脚本を読んだ時の印象を教えて下さい。黃遠戴立忍為了郭采潔大打出手

リ:色々な要素がたくさん詰まった脚本だと思いました。この映画には様々な人物が登場し、それぞれの人間が人生において抱える苦しみや葛藤が語られ、またそれぞれの解決法が描かれます。そしてある一つの事件によってこれらの人々全員が繋がるというお話です。もし自分が撮るとしたら、3部作になってしまうほどの内容が詰まっていると思いました。語りたい内容が膨大で、入り組みすぎていると感じました。  (続きます!)

 

戴立忍(ダイ・リーレン) 1966年7月27日、台湾台東県生まれ。
国立台北藝術大学を卒業後、テレビドラマ「冬陽」で俳優デビュー。その後様々な作品に出演を重ねる。代表作に「月光」、「停車」、「ザ・ホスピタル(原題:白色巨塔〜The Hospital〜)」などがある。2009年に発表した「あなたなしでは生きていけない(原題:不能沒有你)」において監督、脚本、編集を担当し、台湾だけでなく各国の映画祭で賞を獲得した。
俳優としての最新作は、現在台湾で公開中の映画「寒蟬效應」。

  1. 台湾で20141024日公開の王維明初監督作、主演は郭采潔〔アンバー・クオ〕。ある事件をきっかけに異なるバックグラウンドを持つ4人の女性が集まり、それぞれが愛情と裏切りの試練に立ち向かうストーリー。 []
  2. 王維明〔ワン・ウェイミン〕。台湾の監督であり俳優。1994年製作の「エドワード・ヤンの恋愛時代」にてヒロインチチの恋人役で出演。エドワード・ヤン監督作品にスタッフとして参加。テレビ番組の製作や広告のクリエイティブディレクターとして活躍し、「寒蟬效應」で長編監督デビュー。 []