所変われば本違う。
台湾で出版されている本たちは、日本の本たちと、いろんなところがいろんなふうに違うもの。
いったい、どこがどういうふうに違うのか、台湾人が見る違いを一つ一つご紹介していきます。
次に台湾へ行ったら、ぜひ書店を歩いてみてください。

毎年注目の台湾「開巻年間ベストテン(開巻好書奨)

文=黄碧君 写真提供=開巻周報

台湾出版業界における最大のイベントは、年末に発表され、翌年始めに受賞式が行われる「開巻好書奨」(開巻=本を開くこと。好書=良書。奨=賞。以下「開巻年間ベストテン」)でしょう。受賞した作家や出版社にとっては、最高の名誉となり、選ばれた書籍は大きな注目を集めます。この賞は2014年で26周年を迎えました。今年1月10日、受賞式が盛大に行われたところで、出版関係者が200名以上も集まるほどの賑わいでした。
2014開巻トロフィー
「開巻年間ベストテン」の主催者は「開巻周報」です。「開巻周報」とは、大手新聞社「中国時報」に週末掲載される読書欄にあたり、新刊の紹介をはじめ、書評やインタビューなどの記事が掲載されます。1987年に戒厳令が解除され、台湾の政治や社会、経済など、各分野に大きな変化をもたらしました。1988年メディアの制限が大幅に緩和され、新聞や雑誌、テレビ局などのメディアが一気に活気づき、これより言論の自由という新しい時代に入ったと言ってもよいでしょう。この激動の時代――1988年4月24日に「開巻周報」は正式に創刊しました。

「開巻」創刊以来、「書評」は大きな影響力のある存在となりました。毎年、刊行点数が増加していた新刊書から、優れた作品を選び、新しい視点や論点を切り口にコメントすることが、その重要な役割とされました。読者が本を選ぶときに役に立つ情報を提供する以外、書評自体が一つの知識や観点、解釈を提示したのです。良質かつ多元的な書評を継続的に提供するため、作家や専門家、知識人など各分野の有識者を招聘し、「書評委員」制度を立ち上げました。この「書評委員」制度が、1989年成立の「開巻年間ベストテン」のベースになったようです。

「開巻年間ベストテン」は毎年12月、その年の新刊から推薦に値する良書40タイトルを選びます。専門書や学術書を除いた一般向けの書籍を対象とし、選考基準としては「啓発的で新しい」、「価値ある知識・思想」、「文章が優れて、心の糧になる」ものが望まれます。部門は「中国語部門」、「翻訳部門」、「児童書とYA書部門」、「生活書全般」の4つです。ノミネートされた多数の候補から選考委員の投票により10タイトルを選出します。

2006年より、デジタル化の時代のなかで読書をより広めるため、台湾の新人監督・映像作家を招いて、書籍の内容に即したブックビデオ(Book Video)の製作を始めました。そのブックビデオは国際ブックフェアや図書館、書店、YouTubeなどのウェブサイトに流れたおかげで、大きな宣伝効果があったそうです。この2~3年はその年のテーマ設定があり、作家が探偵を演じるなどアイデア満載のポスターなどが話題を呼びました。

次回は、実際にどのような本が受賞したのか、2014年受賞作品をご紹介します。

2014年「開巻年間ベストテン(開巻好書奨)」の公式サイトはこちら

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黄碧君(ふぁん・びじゅん)
ellie1973年生まれ、台湾人女性。書籍翻訳・通訳家。大学卒業まで台北で暮らした後、日本の東北大学に留学、その後はアメリカ語学留学、結婚を経て、現在は日本人夫と台北で暮らす。台北で書店や版権仲介会社の勤務経験をもつ。全国通訳案内士、沖縄地域通訳案内士の資格を取得。2012年、日本人に台湾本の多様性と魅力を伝えるべく、台湾書籍を提案・翻訳・権利仲介する聞文堂LLC合同会社を設立。本は生涯の最良養分と信じて、台湾本のコーディネートと日本全国を旅するライターを目指す。
【主な翻訳作品】
辻仁成・江國香織『恋するために生まれた』幻冬舎、(中文題『在愛與戀之間』皇冠出版社)
寺山修司『幻想図書館』河出書房新社(中文題『幻想圖書館』邊城出版社)
奈良美智『ちいさな星通信』ロッキング・オン(中文題『小星星通信』大塊出版社)
青木由香『奇怪ねー台湾 不思議の国のゆるライフ』東洋出版(中文題『奇怪ね』布克文化出版社)
杉浦さやか『週末ジャパンツアー』ワニブックス(中文題『週末日本小旅行』時報出版社)
荻原浩『あの日にドライブ』光文社(中文題『那一天的選擇』商周出版社)
島田雅彦『エトロフの恋』新潮社(中文題『擇捉島之戀』台灣商務出版社)
三浦しをん『舟を編む』光文社(中文題『啟航吧!編舟計畫』新經典出版社)
松浦弥太郎作・若木信吾写真『居ごこちのよい旅』筑摩書房(中文題『自在的旅行』一起來出版社)
角田光代『あしたアルプスを歩こう』講談社文庫(中文題『明天到阿爾卑斯山散步吧』日出出版社)など。