講癈I壞話(書腰)

仮題:『猫の悪口を言う』
原題:『講貓的壞話』
絵・文:李瑾倫(Lee Chinlun)
出版社:大塊文化
仕様:カラー、横組、224ページ、2010年2月初版刊行
カテゴリー:コミックエッセイ、ライフ、犬、猫
リンク(誠品書店):http://www.eslite.com/product.aspx?pgid=1001129721919584

読みどころ:
 6匹の犬との生活に突如参入した1匹の猫、「かき氷」がもたらした化学変化と、ちょっとしたハプニング。7匹の触れあいと反応を、著者が愛情深く観察し、分析する実記録。ヴィヴィッドな線と絵、そして写真をふんだんに使い、あるときは人間目線、またあるときは犬や猫の目線から語りながら、それぞれの習性や行動パターン、「考え」を代弁する。クールな猫と個性豊かな犬たちの時々アイロニカルで、神妙な発言やふるまいはちょっぴりへんてこ。思わずふふふっと笑ってしまう文と絵が満載の心を暖めてくれる一冊。

 絵本作家の著者は動物愛好家として、捨てられた犬と猫を家へ連れて帰り、一緒に生活している。作者の小さなスタジオは7匹と1人の暖かくて居心地のいいパラダイス。ともに生きて、支え合い、通じ合う仲間がいる、この上なく羨ましい空間。

 

 
李瑾倫著者
李瑾倫(リー・ジンルン/り・きんりん)

イラストレーター、絵本作家。1965年台北生まれ。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業。現在高雄在住。夫は動物病院の獣医師。最も多い時で、7匹の犬と1匹の猫と同居していた。信誼児童書文学賞、『中国時報』読書欄「開巻」ベストテン児童書部門、アメリカニューヨークMarion Vannett Ridgway Memorial Awardグランプリ選出など、受賞歴多数。最もうれしいことは作品を通して、読者に楽しさと感動を与えること。動物を描くのが好きな作者は、「動物は人生にかけがえのない存在で、お互い喜怒哀楽をシェアし、一緒に生活する縁を大事にする」と思っている。作品は絵本『100ぴきのいぬ100のなまえ(一位溫柔善良有錢的太太和她的100隻狗)』(邦訳あり)『たね、ぺっぺっ(子児,吐吐)』(邦訳あり)『動物病院39号』『きょうもいいこねポー!(好乖的Paw)』(邦訳あり)『Pawは病院に(Paw在醫院裡)』、コミックエッセイ『チャトラ猫日和(撥撥橘日日美好)』『23』『光さす窓辺(靠窗位子,光線剛好)』『創作ノート:丸顔ちゃんから教わったこと(那些胖臉兒教我的事:李瑾倫創作事件簿)』など多数。
著者ブログ
http://www.locuspublishing.com/blog/no39/
 邦訳作品。http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Daps&field-keywords=lee+chinlun

目次:

私的スケッチはパラダイスの中に

1、 かくれんぼ
2、 なにか不満でも!?
3、 遊び放題
4、 あなたたちがいるから、私がいる
5、 唯一の異種 →部分訳あり
6、 忙しすぎる日々
7、 ぶりっこごっこ →部分訳あり
8、 猫・かき氷の10大悪事
9、 あなたのそばにいたい
10、 猫・かき氷登壇

あとがき 心のパラダイスにずっといる

部分訳1:

 講癈I壞話24猫のかき氷は4匹の「お姉さん」(Paw、苓〔りん〕ちゃん、まるまる、ワンちゃん)と2匹の「お兄さん」(花ちゃん、Tony)がいる。私は「ママ」で、もちろん「パパ」もいる。
 この家族関係は「人」の思考によるもので、私は「ママの所においで」と声をかけるが、「お兄さんの所へ行っておいで」とは言わない。分類から見ると、かき氷はこの家で「唯一の異種」(人間2人、犬6匹)。みんなとかなり違うのも当たり前。

 講癈I壞話33かき氷は友達が数匹いる。みんな動物病院で知り合った子。一体何匹いるのか私にもはっきりわからない。
 彼は知らない人について行く癖があると私は知っている。(ある時はうさぎのカゴに隠れて、またある時は猫のキャリーバックに隠れて、よその家までついて行った。)よその家と比較したあと、どこの家がより良い場所なのかが分かったのだと私は信じている。
 少なくとも、我が家にいると、病気の時お金がかからない。(私はこれが大事だと思った。)

部分訳2:

(前略)
 ぶりっ子ごっこはかき氷の一番楽しい時間だと私は思う。かき氷は悲しい時間がないのかしら?
 花ちゃんはお出掛けできない悲しみがある。トニーは水遊びができない悲しみがある。まるまるはお腹いっぱい食べられない悲しみがある。ワンちゃんはカミナリと稲妻から逃げることができない悲しみがある。苓ちゃんは「もう一枚クッキーがほしいけど、恥ずかしくて言えない」悲しみがある。Pawは「ママを独り占めできない」悲しみがある。私の悲しみは、彼らに平等に分けあたえる時間がいつも足りないこと。講癈I壞話86.
 しかし、かき氷の悲しみがわからない。
 静かに窓辺に横たわるかき氷の、考えに耽っている様子を見て、いったい何を考えているのか私はとても知りたい。

本書の日本語版の刊行予定はまだありません。
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執筆者プロフィール

黄碧君(ふぁん・びじゅん)
ellie1973年生まれ、台湾人女性。大学まで台北暮らし。その後仙台の東北大学に三年間留学、フィラデルフィアへ半年間の語学留学を経て、千葉で約四年間生活後、現在台北で生活。翻訳・通訳者。訳書には寺山修司『幻想図書館』、三浦しをん『舟を編む』『しをんのしおり』、角田光代『あしたはアルプスを歩こう』、柴崎友香『春の庭』など。2011年全国通訳案内士、2013年沖縄地域通訳案内士の資格を取得。2012年日本人に台湾本の多様と魅力を伝えるため、台湾書籍を紹介、翻訳、権利仲介する聞文堂LLC合同会社を東京に設立した。